数年前まで、中国旅行の定番アドバイスはこうでした。「着いたらAlipayかWeChat Payを開いて、プリペイドの『Tour Card』を有効化し、現金か海外カードでチャージすればOK」。しかし、このアドバイスはもう時代遅れです。両社とも2024年ごろからTour Cardを縮小しており、それに代わったのは——自分の海外カードをアプリに直接紐付けるという、むしろシンプルな方法です。2026年現在、実際にどう機能しているのかをまとめました。

なぜTour Cardはなくなっていくのか

Tour Cardが存在した理由はひとつ——海外発行のカードをAlipayやWeChat Payに直接紐付けられなかったため、旅行者向けの代替策として、多くは中国の銀行と提携する形で、専用の預り金・チャージが必要なプリペイドカードが用意されていたのです。2023年から2024年にかけて両社が海外カードの直接紐付けを解禁したことで、この代替策自体が不要になりました。古いブログや銀行の旅行者向け案内に「Tour Card」の案内が残っていても、それはもう過去の情報だと考えてください。今の標準ルートは直接紐付けです。

Alipayで海外カードを設定する

  1. ダウンロード・登録:旅行中でもSMSを受信できる電話番号でAlipayアプリに登録します。可能なら渡航前に済ませておくと、到着直後の通信状況に左右されません。
  2. 先に本人確認を済ませる:「Me → Settings → Account and Security → Identity Information」から「Foreigner」→「Passport」を選び、パスポートの情報ページを鮮明に撮影してアップロードし、短い顔認証(まばたきや首を振る指示に従う)を行います。承認は通常数分で自動的に完了しますが、公式には最大24時間かかる場合があるとされています。
  3. カードを追加する:「Me → Bank Cards → Add Card」からカード番号・有効期限・CVVを入力し、銀行側の3-Dセキュア認証で承認します。Alipayは確認のための少額のテスト決済を行い、カードが確認されると自動的に取り消されます。

Visa、Mastercard、JCB、Discover、Diners Clubは海外発行カードに対応しています。American Expressは発行銀行によっては使えますが、すべてに対応しているわけではありません。

WeChat Payで海外カードを設定する

  1. 海外の電話番号で国際版WeChatに登録し、6桁の支払いパスワードを設定します。
  2. パスポートを使った本人確認を行います。Alipayと同様、写真アップロード+顔認証の流れです。
  3. 「Me → Services → Wallet → Bank Cards → Add a Card」からカード情報を入力し、銀行から送られるSMSコードで確認します。

2026年時点でWeChat PayはVisa、Mastercard、JCB、Diners Club、Discover、UnionPay Internationalに対応しています。情報の一致にはかなり厳格で、カード名義はパスポートの名前と完全に一致させる必要があり、バーチャルカードやプリペイドカードは基本的に拒否されます。

実際にかかる費用と、現在の利用上限

手数料の仕組みは両アプリ共通です:1回200元以下の決済は無料、それを超えると3%の手数料がかかります。海外発行のUnionPayカードは、どちらのアプリでもこの手数料が免除されます。この3%はカード発行銀行側の海外決済手数料に上乗せされる形なので、頻繁に使う予定なら自分のカードの海外利用手数料を事前に確認しておきましょう。

利用上限についてはガイドによって数字がまちまちですが、これは主に中国人民銀行(PBOC)が2024年に外国人旅行者のモバイル決済に関する規制上限を引き上げたことが理由で、記事によって古い数字がそのまま残っていることがあります。基準にすべきはPBOCが定めた上限そのもので、1回あたり5,000米ドル、年間5万米ドル(おおよそ1回36,000元、年間360,000元)が、本人確認完了後に解放される上限です。アプリ内のデフォルト表示や他サイトの記事では、これより低い、あるいは少し違う人民元換算の数字が使われている場合もあるので、大きな買い物で上限が気になるときは、この記事も含めどの記事も鵜呑みにせず、アプリ内で直接確認してください。

新しくカードを紐付ける際に確認しておく価値があるのが、WeChat Payが実施している新規紐付けカード限定・60日間手数料無料(1日あたり1,000元未満の決済が対象)のキャンペーンです。旅行時にまだ実施されているとは限りませんが、設定のときに確認するだけなので損はありません。

決済が失敗したときは

これは以前のTour Cardなら基本的に起きなかった問題です(プリペイドだったので)。直接紐付けしたカードは、中国とは関係のない理由で失敗することがあります。よくある原因を、可能性の高い順に挙げます。

  • 銀行側がブロックした:海外、しかも上海からの連続した決済は、多くの銀行にとって不正利用のように見えます。渡航前に銀行へ連絡し、行き先を伝えておきましょう。
  • お店のQRコードが海外カード非対応:小規模店舗の決済コードが国内アカウント専用に設定されている場合があります。別の店で試すか、現金に切り替えましょう。
  • 本人確認が完全には通っていない:パスポート写真のブレ、顔認証時の照明不足、カードとパスポートの名前の不一致がよくある原因です。明るい場所でやり直し、表記がカードと一致しているか確認してください。
  • リスク管理システムが決済自体をブロックした:理由が説明されないまま、アプリ側の不正検知システムが決済を止めることもあります。数分後に再試行するか、別の支払い方法に切り替えると通ることが多いです。

念のためのバックアップ

直接カード紐付けは今では十分に信頼できる、標準の方法になっていますが、これだけに頼らないでください。銀行がUnionPayブランドのカードを発行しているなら持っていくと安心です——両アプリで手数料が免除され、ATMでの現金引き出しにも幅広く対応しています。そしてどんな場合でも、少額の現金は持っておきましょう。小規模な店、一部のタクシー、郊外への日帰り旅行など、スマホだけでは対応できない場面はまだ残っています。